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Blog 稽古徒然

単純さと複雑さ

 古武術・古武道と呼ばれる、剣術・柔術・居合術などの古伝武術を学び始めると要求される動きの見た目の単純さと内容の複雑さの乖離に眩暈を覚える事が多々あります。(そこが学ぶ事の醍醐味の一つではありますが)
 柳心会では体験者・入会者に最初に指導するのは「膝の緩み」と「軸の意識」になります。特に膝の緩みは、動き的には単純でわかり易いですが、いざ自分でやってみると思う様にできず驚かれる方が多い様です。膝を張らず、緩めて楽に動くと云った感じで、解説と動きを見せて行って貰いますが「緩めて」動く事に対して自身の反応が鈍く戸惑う事が原因の様です。


 体感を掴めれば単純で大したことではなくなり、意識もしなくなります。そこに行くまでにそれぞれが難しくしている自分を感じ、稽古を重ねる事で少しずつそれを解消し出来る様にして行くかと思います。(私自身、まだまだ「緩んで」ないぁ~と感じる事が多く悩みの森へ行ったり来たりしていますが…)
 稽古は単純化して行くのがひとつ指標ですが、逆に複雑化して行く事もあります。学び始めは一つの運動で行っていた事を身体内、意識内でギアを増やしてく様に運動構造を複雑、多様化し、しかし体現は一つに纏める様にして行きます。なので稽古を重ねた達者な人の動きと初心者の何気ない動きの外面的な違いを見分ける事は難しくなります(特に自分と違う流れを学んでいる方の動きを外見だけで判断することは……)

この単純さと複雑さを楽しみながら、稽古をしてもらえれば。