柳心会の居合術は基本刀法、基本型、坐居合、立居合などがあります。今回はその中から中心的に稽古する坐居合の一本目【向覃中刀】の手控を紹介。
実際に稽古している型の雰囲気と紹介する手控の内容を比べると大同小異といった感じです。型の雰囲気は稽古する人の理解、体力、方向性・工夫で等で変化をして行きますので深く考えると疲れてしまいます。表層の形の違いより、型が何を教えようとしているのか、その辺を自分の身体を通して知る事のほうが重要だと思っています。ただ紹介する手控えから先師たちが一時どの様に稽古をしていたのかを知る事は、日々の稽古を振り返る良いきっかけとなります。
【初礼後(左手ハ鯉口ヲ握り居ル事)右膝を立てると共に右の手を以って鍔元の柄を柔かく握り取り上げ(其時の刀の鍔は臍の当りまで取上げ其時柄頭は右、鐺は左の方となるも立ち上がり抜く時は元と帯したる辺り刀は腰に戻す)然して立ち上がると共に右の片手にて前に平晴眼に抜き付け(抜き付ける時は切先の三寸位より力を入れ抜き付けるなり)
左の鯉口を握りたる手は其抜き付けると共に鯉口を刀の柄頭に副え、尤も両足を並べ真直す而して右片手の儘左足を引きながら其足を折敷き(尤も爪先立るなり)鯉口を握りたる左手は其儘鯉口を以て稍や後ろの方へ廻しながら立ち上がると共に上段より右肩に移し(立ち上がりたる時は両足を並べ)前に切り落とし(切り落としたる時柄頭は凡そ臍の位置辺に止め切先は稍や上る様にに切るなり)其切り落とす時左足を引き亦た鯉口を握りたる左手を放ち柄頭を握る事にして尤も小指をしめるにあり。
然して其刀の鍔元を右の手を以って逆に取り直し左の手は鯉口を取り右足を折敷き鞘に納むると共に左足を寄せ元の場に坐する事にあり】